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地下鉄のギター弾き
昼間の地下鉄に乗った
午後1時ちょっと前

すいた車両の中
男の人がひとりギターを手に歌っていた
ラテンの3拍子
塩辛く掠れたスペイン語
曲が終わっても
お金を集めることもなく
まわりを見回すでもなく
またはじめから歌いだす

ネックを高く上げ
胴を抱くようにして
古ぼけたギターを太い指でかきならす
ペグが緩むのか
途中で何度も同じ弦を締め
そのついでのように
右手で日に焼けた顔をぐるぐるとこすり
また続きを歌う

その乾いた声を
もうしばらく聞いていたかったので
駅を3つ乗り越した

ふいに音が止み
ギター弾きは両目を押さえて
うつむいてしまった
アタシと、斜め前のふたりづれ
3つの頭が息をつめ、揺れながらその人を見つめる

長い長い何秒かの後
また思い出したように
潮風にさらされた枯れ木の声で
ギター弾きは歌い始めた

次の駅で降りる時
"gracias"と言ってみたけど
返事はなかった
普通の声も聞いてみたかったのに

ホームから
その人を乗せた電車を見送った
たぶんもう再び会うこともないギター弾き



追記:
電車を降りる時前を通り過ぎて気づいた、
この人、なぜかワークブーツを左右逆さまに履いていた。





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( 2011.03.31 ) ( today ) ( COMMENT:4 ) ( TRACKBACK:0 )
Before-and-Afters
何かの前とあとを行ったり来たりの週末
明日の日曜日は、木綿の糸で丈夫な固結びをひたすら作り
心を強くしよう
月曜日はずっと前の自分になって
火曜日はまた別の人になろう
水曜日は、
どうなるかまだわからない。









( 2011.03.26 ) ( poem ) ( COMMENT:6 ) ( TRACKBACK:0 )
花火
ある夏の宵、湖で花火があるというので、おじいさんは8つになる孫のオリバーを連れ、手漕ぎの船で花火見物にでかけた。おじいさんは瀟洒なヨットやモーターボートの間の隙間を縫って進み、花火がいっとうよく見える場所におんぼろ船を泊めた。

大きな破裂音が響き、最初の花火がいっきに空に開くと、オリバーは一瞬息ができなくなった。そして光の花びらが夕立ちみたいな音をたてて真上から降ってきた。花火は船のまわりの湖面に反射し、オリバーは自分が空のまんなかで花火に囲まれて浮かぶ星になったように思った。その強烈な美しさに泣きそうになり、オリバーは湖に飛び込んだ。自分が泣くとおじいさんが悲しむと思ったのだった。

水面に顔を出したオリバーの濡れた頭全体が歪んだ鏡のように花火を映し、まわりの水といっしょに赤や緑に輝いた。そしてそれを見たおじいさんは、去年の暮れに病で死んだこの子の母親にこの姿を見せることができたらと切実に思い、涙を流した。おじいさんの頬をつたう涙の中にもまた花火が輝いた。




( 2011.03.24 ) ( stories ) ( COMMENT:0 ) ( TRACKBACK:0 )
乗り物にまつわる話、いくつか。
冷え込みの厳しい真夜中、
通りに立つ男性、タクシーを探しているがなかなかつかまらない。
止まりかけても、まず行き先を聞き橋むこうとわかるとさっと走り去ってしまう。
何台もそうして拒否されたあと、ようやく黙って止まった車に乗り込み、人心地ついた。
しかし行き先を言ったとたん、東ヨーロッパ系の運転手、なまりの強い英語で
"No, no Brooklyn"
いったん乗せといて寒空にまた放り出すってのか、と彼はずいぶんねばったが、
タクシーは頑として動かない。
あまりにくやしいので、降りがけに
"You are an XXXXXXX, You XXXXXX XXXXXX!!!"
と吐き捨てた。するとその運転手、
本当に申し訳なさそうに大きな体を縮めて
"Yes, I am" 
と言ったそうな。


NY市、帰宅ラッシュ時の地下鉄
発車の鐘が鳴って、車掌の女性が
「ドアしまります」
とアナウンスするたびに、人が次から次へと飛びこんできたり、
閉まりかけたドアを押さえたりこじあけたりして、なかなかうまく行かない。
何度もドアを開けたり閉めたりしているうちにだんだん頭に来て、
「ちょっと、その真ん中の車両で電車止めてる人!」
と叫んだ。
「あんたよ! その足どけなさいよ、ドア閉めるんだから!」
その声は全車両に響き渡り、2秒後、電車は無事発車、
乗客はこの女性に拍手を送った。


マンハッタンからハドソン川をはさんだ対岸、ニュージャージーで。
ある日本人がバスに乗っている。彼女は高校の交換留学でこちらに来たばかり。
ニュージャージーのホームステイ先からマンハッタンに初めてひとりで出かけて、街を見て回り、夕方のバスに乗った。乗ったはいいが、ステイ先のお母さんに教わった道路の名前や停留所の目印が行けども行けども出てこない。やがて乗客は彼女ひとりとなってしまった。
外はすでに真っ暗。
「もうここが終点だよ」
と運転手は言ったが、彼女は泣きべそをかくばかり。
運転手は、目玉をぐるぐるまわし深いため息をひとつついたあと、
彼女からなんとか住所を聞き出し、
ステイ先の家までその大きなバスで彼女を送って行った。

(以上すべて実話です)




( 2011.03.21 ) ( on this side ) ( COMMENT:2 ) ( TRACKBACK:0 )
いつもと同じ夕暮れ
三日前
自分の育った国で
数知れない多くのものが失われた

昨日、シカゴに住んでいたいとこが
一日遅れで帰国した
「元気でね」と言い合って
電話を切った

週が明けて
今朝見たニュースの中では
見慣れたキャスターが日本にいて
被災地を歩いていた

テレビの前から体をひきはがして
会社に行った

いつもと同じように
in-boxにたまった仕事を
ひとつひとつ片付け
昼には
同僚と話しながら
ゆうべ作ったお弁当を食べた

帰り道の景色も
いつもとなにひとつ変わらない
買物袋を両手にさげた人が行き交い
酔っぱらいのホームレスは道ばたに寝転び
犬は散歩し
花屋の店先にはクロッカスやパンジーが並んでいた

多くのものが失われた国の人々が
朝を迎えるこの時間
見上げると
風が吹き
雲は流れて
カモメが鳴き交わす
いつもと同じ夕暮れを
アタシは歩いている





( 2011.03.14 ) ( today ) ( COMMENT:9 ) ( TRACKBACK:0 )
お見舞い申し上げます
地震のこと、今朝のニュースで知りました。
私には何もできず、またどんな言葉をここに書けばよいのかわかりませんが、
心よりお見舞い申し上げます。




( 2011.03.11 ) ( 未分類 ) ( COMMENT:4 ) ( TRACKBACK:0 )
Surprise!
今朝、会社に行ったら、
昨日食べきれずに置いて帰ったバナナが
デスクの上で笑ってた。

同僚Mのしわざ。
お返しに、Mのデスクのリンゴが入った袋にニコチャン大王を描いておきました。

(Thanks M, you made my day.)


mms_picture-18_convert_20110310101433.jpg






( 2011.03.09 ) ( bubble ) ( COMMENT:1 ) ( TRACKBACK:0 )
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