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夜の散歩
日本にいるあいだ、時差ぼけのせいもあり夜が長くて、よく散歩にでかけた。

午後9時すぎ、都会だとまだ宵のうちだろうけど、田舎町の住宅街では文句のつけようもないくらいの完全な夜だ。まばらな街灯と家々の玄関の電灯がポツポツとついていて、アスファルトの端に引かれた白線は少し先で闇にまぎれてしまう。まだ刈り取りのすんでいない田んぼの稲が微かに黄色く浮かんで見える。どこからか、キンモクセイのむっちりした匂いがする。

車やバイクが走り過ぎる。みんなどこかに向かって「まっしぐら」に急いでいるように見える。歩行者はといえば、時々犬を連れた人とすれ違うけど、この人たちもまた犬の散歩という目的があり、それを世に知らしめるためなのかどうか、みな「免罪符」のように懐中電灯を片手に持っているのだった。だから、行く先特になし、乗り物なし、犬なし、懐中電灯なしのアタシの夜歩きはもしかしたら、もう少し時間が遅ければ目撃者に通報されたりするのかもしれない。

それならば自分も目的を持って歩くことにしようかと、まっすぐに伸びたメインストリートのずっと先にコンビニがあったことを思い出して、それから毎晩のようにそのコンビニに通った。真っ白く光り輝く店の前に立つと、自動ドアは常に「敬礼」のような素早さでサッと開いた。やっぱり日本はすごい、と思った。



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紀ノ川、早朝




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( 2012.10.28 ) ( notes ) ( COMMENT:11 ) ( TRACKBACK:0 )
時間遡行、薄い影
日本から戻った。

あっちを発った日はいちにち雨だった。ガラガラに空いた午後の空港バスに乗り込んで、曇った窓ガラスを手の甲で拭き拭き雨にけぶった景色が次々と流れ去っていくのを眺めた。

空港では、修学旅行に出発するらしい高校生の団体が同じ便にチェックインしていた。制服もスーツケースもスニーカーも、彼らの細胞までもがピカピカで、行儀よく並ぶ列のあいだからそんな真新しい興奮が伝わってきて、ガラスの向こうの重い空が少し明るく見えた。

飛行機は時間を逆戻りし、ものすごく短い夜を飛び越えたあとサンフランシスコに着いた。空は眩しく晴れていて、時間は同日の午前9時半だった。朝9時ごろといえば、たしかアタシは雨に濡れた裏庭のブーゲンビリアを写真に撮ったりテレビで妙な連続行方不明事件の報道を見ながらアンパンかじったりしていたのだった。

窮屈な椅子に座って映画を選んだり口あけて居眠りしたり与えられた食事をつつきまわしたりしているうちに地球を半周まわっていて同じ時間を2度辿る。そして突然違う国にアタシはいる。何度行き来してもそれが不思議でしょうがない。(逆方向だと時間がすっぽりと抜け落ちて、アタシはそのあいだ存在していなかったんだろうか)

乗り継ぎの飛行機がNYに降りたのは夜10時すぎ。空港から家へ帰る途中、タクシーの窓の見慣れた街はなぜか夢みたいだった。いや半分は夢かもしれない。アタシの半分はまだあのコンビニと自動販売機にあふれた日本の小さな町にいて、いまごろ昼ごはんのうどんか何か食べているに違いないと思った。半分だからいくぶん影は薄くなっているだろうけども。



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( 2012.10.20 ) ( notes ) ( COMMENT:14 ) ( TRACKBACK:0 )
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