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待ちぼうけの友
帰宅ラッシュの駅の真ん中、案内所の前に立ってひと待ち顔を作ってみた。
背伸びなどしてキョロキョロ雑踏を見透かしたりしているうちほんとに誰かを待っている気になり、
更にしばらくすると置いてきぼりの悲しい気持ちさえ湧いてきた。
ふと気づくとすぐ隣に猿が立っていた。
「うわっ」
びっくりして少し飛びのくと、猿はその分また距離を縮めて、肩が触れそうなところに並んで立った。
「なにこれ?」
「なにって、『待ちぼうけの友』だけど」
猿は前を向いたまま、めんどくさそうに答えた。
「しゃべった。猿が。猿のくせに。あっち行ってよ」
「猿じゃねえって、『待ちぼうけの友』だってばさ」
「だから、なによそれ」
「『だから』ってなんでえ、今はじめて聞いたんじゃねえか」
「離れてよ、ひと待ってんだから」
「へへっ、一生現れないヤツ待ってんだろ」
「……」
「かっこつけてんじゃねえよ。呆けた顔してっからオイラ出て来てやったんだろ」
「えっ、じゃあなんかしてくれるわけ?会いたいひと連れて来てくれるとか?」
「んなこたしねえよ。『待ちぼうけの友』だって何度言わせんだよわかんねえヤツだな」

それからしばらくこの妙な猿とアタシは並んで雑踏に立ち、
赤の他人が次々と行き交う様を遠い目をして眺めたのだった。



IMG_8063_convert_20120203112340.jpg





( 2012.02.02 ) ( daydream ) ( COMMENT:4 ) ( TRACKBACK:0 )
コメント

No title

以前、家の中に「待ちぼうけの友」が・・・それがサルだったかどうかは定かでないけど、確実にいました。
だんなは単身赴任で、私は失職し・・・会話のない日々。特にすることもない(あるけどw)日々。

そして数年後、ひょんなことから「待ちぼうけの友」が「くり」となって現れたというわけで。
タロコさんの「待ちぼうけの友」も、いつか実体化するはず・・・だと思います。

( by : とんがりねずみ * URL ) ( 02/03 - 01:29 ) ( 編集 )

No title

「んなこたしねえよ」
突き放すようでいて包容力が感じられるセリフだねえ。
胸にグググッとくるねぇ。
アタシも試しにやってみっかなあ。
「待ちぼうけの友」来てくれっかなあ。
で、「待ちぼうけの友」に待ちぼうけをくらわされた場合の「待ちぼうけの友」はいるのか????

( by : もうこ * URL ) ( 02/03 - 11:17 ) ( 編集 )

とんがりねずみさん

とんがりねずみさんもはなればなれで暮らしたことがおありでしたか。「会話のない日々」、その通りです。ひとりだと家にいる時間は声が不要になる。このごろ気がつくと独り言を言ってます、それもけっこう大きな声で。こわいです~。くりちゃん、ちょっと伏し目がちな瞳がなんとも可愛らしい!
ありがとう、とんがりねずみさん!

( by : タロコ ウラシマ * URL ) ( 02/03 - 23:21 ) ( 編集 )

Re: No title

もうこさん、いつもありがとね。
「待ちぼうけの友」不在時のための「待ちぼうけバックアップ」はもしかしたらケイタイ? 誰かを待ってるひとは皆、手の中の光った画面をうっとりながめたりして。

( by : タロコ ウラシマ * URL ) ( 02/04 - 06:54 ) ( 編集 )

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