スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。



( --.--.-- ) ( スポンサー広告 )
時間遡行、薄い影
日本から戻った。

あっちを発った日はいちにち雨だった。ガラガラに空いた午後の空港バスに乗り込んで、曇った窓ガラスを手の甲で拭き拭き雨にけぶった景色が次々と流れ去っていくのを眺めた。

空港では、修学旅行に出発するらしい高校生の団体が同じ便にチェックインしていた。制服もスーツケースもスニーカーも、彼らの細胞までもがピカピカで、行儀よく並ぶ列のあいだからそんな真新しい興奮が伝わってきて、ガラスの向こうの重い空が少し明るく見えた。

飛行機は時間を逆戻りし、ものすごく短い夜を飛び越えたあとサンフランシスコに着いた。空は眩しく晴れていて、時間は同日の午前9時半だった。朝9時ごろといえば、たしかアタシは雨に濡れた裏庭のブーゲンビリアを写真に撮ったりテレビで妙な連続行方不明事件の報道を見ながらアンパンかじったりしていたのだった。

窮屈な椅子に座って映画を選んだり口あけて居眠りしたり与えられた食事をつつきまわしたりしているうちに地球を半周まわっていて同じ時間を2度辿る。そして突然違う国にアタシはいる。何度行き来してもそれが不思議でしょうがない。(逆方向だと時間がすっぽりと抜け落ちて、アタシはそのあいだ存在していなかったんだろうか)

乗り継ぎの飛行機がNYに降りたのは夜10時すぎ。空港から家へ帰る途中、タクシーの窓の見慣れた街はなぜか夢みたいだった。いや半分は夢かもしれない。アタシの半分はまだあのコンビニと自動販売機にあふれた日本の小さな町にいて、いまごろ昼ごはんのうどんか何か食べているに違いないと思った。半分だからいくぶん影は薄くなっているだろうけども。



P1010213_convert_20121021003638.jpg






( 2012.10.20 ) ( notes ) ( COMMENT:14 ) ( TRACKBACK:0 )
コメント

No title

こんばんは


こういう時って、海外の家であっても日頃住んでる家に戻ればやっぱり、ああ、やれやれ、家に帰ってきたって思うんでしょうか?
自分も海外ではないですけど、仕事で九州に居た時があるんですけど、実家から九州に戻っても、ああ、自分の家に戻ったっていう気にはなかなかなれなかったです。

それでふっと、どんな感じなのかななって思いました(^^ゞ

( by : ぐり * URL ) ( 10/21 - 08:45 ) ( 編集 )

ぐりさん

とても考えさせられる質問です〜 日本からの帰りはなかなか複雑ですね、確かにやれやれとも思うんですが、ああどうしよう、とグラグラ揺れるような気にもなり(笑)。
でも日本はやっぱりよかったです、風景を作っているいろんな色ぜんぶが柔らかい感じがしました。子供のころから身に馴染んだものを目や体が覚えてるんでしょうかねえ。

( by : タロコ * URL ) ( 10/21 - 19:41 ) ( 編集 )

細胞は新鮮です。

お久しぶりです、
ぼくも約一ヶ月旅するHOBOでした。
細胞にだんだんカビが生えてきましたからね、旅でもして
スラックスですよ。

〈タロコの数え歌〉のサビに奮闘中のアタシです。
細胞はピカピカいつも一級品なのです。また来月旅にでます。
ピカピカです。

HOBO

( by : HOBO * URL ) ( 10/21 - 21:11 ) ( 編集 )

おかえりなさ~い♪

久しぶり?の日本はいかがでしかた?
台風、直撃されませんでした?・・・ま、アメリカのハリケーンや竜巻に比べたら、災害のレベルに達していないかもしれないけどw

近年の修学旅行は飛行機なんですよねぇ…。
アジアくらいならわかるけど、アメリカまで行っちゃうんだ。親のすねも、細くなる一方ですなw

何かいっぱい買い付けてきた日本食品とか、あるんでしょうか(笑) 羊羹とかイカの塩辛とかw

( by : とんがりねずみ * URL ) ( 10/21 - 22:05 ) ( 編集 )

No title

ぱっと消えて、ぱっと現れる。
タロコさん自体が時空を超えているのではないでせうか。
そういえば何十年か前、フィラデルフィアかどこかの基地から、
数十人の兵士が一挙に消滅して、
再びどこからか戻ってきたという事件があったそうな。
ずーっと極秘にされてきたらしいけど、
トランスポートな出来事として何時の間にやら知られるようになったという。

なにか知ってませんか( ( ( ( 一一)*

( by : NANTEI * URL ) ( 10/21 - 22:29 ) ( 編集 )

No title

どですか。のんびりできましたか。親孝行できましたか。
またハードな日々に戻ってると思います。
何日かぶりにご主人様を見たネコ2人の様子はどうだったでしょうか。
でっかいのは横目で見て「ふん」て感じ。ちっこいのは一瞬「ん?誰や?」と戸惑いながらもご主人様の顔を思い出して小躍りして喜んだ。みたいな。

( by : mouko.s * URL ) ( 10/22 - 07:09 ) ( 編集 )

Re: 細胞は新鮮です。

HOBOさん、ご無沙汰です。
一ヶ月の旅、なんというぜいたくでしょう。(スラックスってところがちょっと意味不明ですがHOBOさんらしいかなと思ったり)旅の途中にどんなことを感じられたんでしょうか、新しい細胞と一緒に今後の作品もいろいろ生まれてくるんでしょうね、楽しみです。

もしかして前に載せた「生き残りの数え歌」、その曲を作ってくださっているということでしょうか?うわ〜、うれしいです、なんて言っていいのかわからない。ありがとうございます。

( by : タロコ * URL ) ( 10/22 - 10:49 ) ( 編集 )

Re: おかえりなさ~い♪

とんがりねずみさん、ありがとうございます! ただいまです!!

日本の人の礼儀正しさに改めて感動しました。でも一方で、テレビで見たある天気予報士さんの言葉づかいにびっくり。「明日は一日雨となりそうです」ではなくて「雨になりそうだと考えています」更に「傘を持って行っていただけたらなあと思います」。なんだか不自由そうでした。はっきり言うと外れた時に責任問題になるんでしょうか??

帰りはやっぱり台風の影響か離陸後かなりのあいだ揺れがはげしくて、修学旅行の生徒さんたちが後ろでキャーキャー叫んでました。(はんぶん楽しんでいるように聞こえてちょっと笑った)
食料品は、梅干しをたくさん買ってきましたよ。それとおみやげは和菓子、すごく喜ばれます。

( by : タロコ * URL ) ( 10/22 - 11:10 ) ( 編集 )

NANTEIさん

そういえば体重が急に増えたのは時空を超えたせいだったんだきっとそうだ。
NANTEIさんありがとう。

何十年か前というのが具体的にどのくらい前なのかわからないけども、もしかしたらNANTEIさんはその兵士たちのひとりだったんじゃないだろか。そして消滅していた時間におきた出来事を心に秘めたまま日本でひっそり、でもここへきて突然誰かに話したくてしょうがなくなった、とか。そういうことでしたらぜひぜひ私に。口は堅いですよ〜

( by : タロコ * URL ) ( 10/22 - 11:45 ) ( 編集 )

moukoさん

はい、楽しすぎたので戻ったら名前の通り浦島で、急に疲れが出てしおしおしてます。
猫2匹の様子、よくわかりましたな〜。近いです、2匹にかなり疑わしい目で見られました。特にチビはおろおろしてた。次に帰った時はそっちへも遊びに行けるようにがんばります。
ありがとう。

( by : タロコ * URL ) ( 10/22 - 11:55 ) ( 編集 )

No title

タロコさん。お帰りなさい。

なんだか泣けました…わけも無くね。
とりわけ最後の二行ね。

『アタシの半分はまだあのコンビニと自動販売機にあふれた日本の小さな町にいて、
いまごろ昼ごはんのうどんか何か食べているに違いないと思った。
半分だからいくぶん影は薄くなっているだろうけども。』

というところ…

生きて行くってなんて愛しいのだろうと、この頃しみじみ思うわ。





( by : 彼岸花さん * URL ) ( 10/27 - 10:22 ) ( 編集 )

彼岸花さん

「しみじみ」がだんだん多くなってきますよね、若い頃にはわからなかったものがちょっとずつ味わえるようになってきたような気がして、年取るってけっこうおもしろいじゃないのと思えるこのごろです。
…とか言いながら最近は全然これも更新できてなくて、せっかく覗いてくださっているのにすみません。
いつもありがとうございます!

( by : タロコ * URL ) ( 10/27 - 19:18 ) ( 編集 )

No title

うんうん。年をとってきたからわかってくることってたくさんあるわよね。
ほんと。『年取るってけっこうおもしろいじゃないの』…そう思うわ。

タロコさんのね。独特の感性が私は好きです。
とりあげる写真やものがね。
ただ、靴の紐を結び直す…一円玉をたまたま茫然と見ていたら月に見えた…
その、日常の中のすぽっと、異世界に抜ける感じが好きだわ。
ですから、どんどん表現してほしいなあ。
気張らなくてもいいの。何となくあなたの視点が面白くて、
そしてなんかきゅんとさせるんですもの。^^
そして皆さんのコメントもいいなあ…ここ、独特世界よ!^^

( by : 彼岸花さん * URL ) ( 10/27 - 21:28 ) ( 編集 )

彼岸花さん

最高にうれしいお言葉です。彼岸花さん、ありがとうございます!
ふつうの言葉やありふれた写真が心に響く、それは実は書き手ではなくて彼岸花さんのすごい繊細な感性あればこそ、ということだと思いますが、それでも本当にうれしいです。
そうなんです、コメントくださる皆さんの言葉がすごいですよね。こっちがいつも楽しませてもらってしかもクレジットは私がもらう、なんだか悪徳商人みたいですね。

( by : タロコ * URL ) ( 10/28 - 19:22 ) ( 編集 )

コメントする?












 秘密コメント

トラックバック
トラックバックURL
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。